こんにちはMr.レフェリーです。寒くなってくるとユニクロのヒートテックを毎年買い込みます。最近ではシャツだけでなく、タイツ、パンツ、靴下にいたるまで全てのインナーにヒートテック素材が使われています。ヒートテックのメリットは保温性や発熱性はもちろんのこと、軽くて着やすいということも挙げられます。冬には欠かせないアイテムとなりました。
このユニクロに代表される保温性や発熱性の下着だけでなく、発汗性、加圧性など特定の機能を有した下着を「機能性下着(機能性アンダーウェア)」と総称します。最近では聞き慣れた言葉となってきましたが、実はこの言葉の由来はスポーツから発祥しているのです。スポーツが生んだ新しい分野「機能性下着」とそのビジネスシーンについて紹介します。
機能性下着の先駆けは、アンダーアーマーとワコール
機能性下着の先駆けであり、業界をリードする2社を紹介します。
そのひとつは「アンダーアーマー」です。メリーランド州ボルチモアに本社を置くスポーツ用品メーカーで、「コンプレッションウェア」という機能性下着を製造・販売しています。会社名の由来は、ユニフォームの下(=Under)に着用する「アスリートが戦うための鎧(よろい=Armour)」。社長自身がアメリカンフットボール選手の経験を持ち、従来のシャツは防具を脱ぐ際に引っ付いてしまい脱ぎにくかったことから、体にフィットする機能(着圧性を持つ)のシャツを開発したことが事業のはじまりです。まだ創業して20年ですが、すでにブランドイメージを確立し、多くのトップアスリートと契約、スポーツ選手から絶大な指示を得ているメーカーです。私自信もプレイヤーだったころはアンダーアーマーのシャツを着てプレイしていました。着圧性を持つだけでなく発汗性もあり、着心地と同時にパフォーマンスも向上させる下着です。
もうひとつは「ワコール」です。1991年に女性用スポーツタイツを販売して以来、「テーピングの原理を組み込む」という発想で他社と一線を画す機能性下着を作っています。発売当初は機能性下着という市場はなく、商品は百貨店のレオタード売場に置かれるなど苦戦をしいられたようです。1992年に男性からの根強い要望があり男性用タイツを発売し、スポーツ用品店に販路を拡大しました。2002年にメジャーリーガーのイチロー選手と契約したことが転機に。イチロー選手からの高い要望を忠実に再現した「CW-X」というスポーツ用タイツを開発し、マラソンブームなどの後押しもあり売上を拡大しました。「ウェア」ではなく「ギア(道具)」と位置付け、機能性下着という分野を確立しました。
スポーツから介護の現場まで、機能性下着の可能性
機能性下着の分野は先に紹介したアンダーアーマーやワコールの他、デサントやミズノなどの国内スポーツ用品メーカーが参入し激戦区となっています。2015年の国内出荷額は323億円ですが、メーカー側ではスポーツ以外の用途への販路拡大を目指しています。
ミズノはゴルフや野球などの機能性下着を開発してきた経験を生かして、暖かくかつ軽い素材の日常用下着の販売を開始しました。男性用、女性用の両方をラインナップし、着ている感覚を忘れるほどの軽い着心地が追求されています。ワコールもスポーツ用タイツCW-Xから応用して「一日中着ていられるCW-X」というコンセプトのもと、従来品よりも薄く、着心地と機能性を両立した日常用のタイツを開発しました。これらは全てスポーツをする人をターゲットにしているのではなく、「スポーツ並みに体を動かす仕事の人たちに使って欲しい」という気持ちが込められています。ヨガや軽い運動だけでなく、引っ越しや運送業、人を抱え上げる医療や介護の現場などへの普及を目指しています。これまではスポーツ用品、日常品との垣根がありましたが、それが今は全く無く、「着る道具」と捉え、自分の動きを楽に、生産性を向上させるために機能性下着を選ぶ人が増えています。
ユニホームの常識を超えるアンダーアーマー
機能性下着の中でも、私はアンダーアーマーを好んで着ています。機能性下着については一通り試したのですが、有名メーカーのものであれば、暖かく着心地も良くほとんど同等だと考えています。それではなぜアンダーアーマーを好むのか、それはアンダーアーマーのブランドイメージとして「デザインへの挑戦」というもの感じるからです。従来のデザインの常識を越えた作品がアンダーアーマーから近年発表されています。それはアメリカンフットボールのチームユニホームです。特にカレッジフットボールのユニホームに関しては、毎年斬新なデザインが発表されています。
① 左右のデザインが異なるユニホーム
メリーランド大学のフットボールユニホームは左右対称です。白と赤はメリーランド大学の校章を、黄色と黒はチームのニックネームである「ダイヤモンドガメ」の甲羅を表しています。このユニホームが発表された時は、「なんて斬新なユニホームなんだ!」とアメリカ中が湧きました。左右対称にするというデザインの発想、なかなか持てないですよね。これがアンダーアーマーなんです。
② アメリカ国旗がモチーフとなったユニホーム
ボストン・カレッジのフットボールユニホームはアメリカ国旗、つまり星条旗がモチーフとなっています。モチーフというか、ダイレクトですよね。ここまでダイレクトに星条旗がユニホームになっているとあっぱれという感じです。
③ 校章を散りばめたアンダーウェア
ノートルダム大学のフットボール用アンダーウェアです。これも説明は不要ですね、ノートルダム大学の校章が胸を中心にプリントされています。母校のプライドを背負って戦うカレッジフットボールらしいウェアです。
これらのデザインを世に出せるアンダーアーマーだからこそ、わずかな期間でその人気を確立できたのでしょうね。
スポーツビジネスを自分の目で見よう!
今では私たちの生活に欠かせなくなってきた機能性下着、スポーツを原点として発展してきたこの分野は、スポーツがビジネスに発展した代表的な例ではないでしょうか。
スポーツと睡眠の関係の記事の中で、寝具メーカーがスポーツ選手と契約して販路を拡大している点を紹介しました。スポーツ選手をメーカーがサポートする意義として、周知を広めるだけでなく、限界に挑戦しているアスリートを支えることが製品力を高める研究開発につながることが分かりました。機能性下着の世界でもまさに同じです。アスリートという限界に挑戦する、言い換えると最も厳しい要件が求められる世界において耐えられる製品を作ることは、一般の人の使用に十分満足できることを証明することにつながります。
こういいったスポーツビジネスの最前線というのはニュースや雑誌で分かった気にならず、自分の目で見て、触って体験することで、その真実が分かります。アンダーアーマーの本社はボルチモアにあります。ここではスポーツビジネスを知りたいと希望するゲストに対していつでもウェルカムに会社を紹介してくれます。「いつでも、自由に、好きな時間に、世界中のスポーツイベントを観戦する」ライフスタイルを手に入れる方法を利用して、ぜひ現地で実際のスポーツビジネスを体験する機会を得て欲しいと考えます。
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