9月からはいよいよ日本のアメリカンフットボールシーズンが開幕します。9月から11月まではレギュラーシーズン、12月からはプレイオフ、12月末の学生王者を決める「甲子園ボウル」、社会人王者を決める「ライスボウル」、そして毎年1月3日に東京ドームで開催される学生王者 vs.社会人王者の「ライスボウル」と、熱い戦いが行われます。
「アメフトの試合時間はどれぐらい?」という質問をよく受けます。試合時間というのは、そのスポーツを観戦する上で、重要な要素ですよね。長すぎても間延びしてつまらないし、短すぎても楽しめない。スタジアムでどう過ごすのか、そのためにどのような準備をしていくのか、それらを決めるのに、おおよその試合時間を把握しておくことは大切なことだと思います。
アメフトの試合時間は2〜3時間
まずはじめに、同じアメフトでも体力差によって試合時間が違うことを把握しておきましょう。野球で言えば、中学生までは7回、高校生以上が9回までのゲームみたいなものです。
野球の「回」が、アメフトでいうクォーター(Q)に該当します。
アメフトは、合計4Qのゲームです。
アメリカのプロリーグNFL、日本のXリーグ(社会人リーグ)、学生リーグ、高校生リーグを比較してみました。
リーグ名 | 1Qの時間(分) | 大体の試合時間 |
NFL(アメリカ) | 15 | 3時間 |
社会人Xリーグ | 12 | 2時間 |
大学生 | 12 | 1.5時間 |
高校生 | 10 | 1時間 |
試合にはハーフタイムやタイムアウト、審判の判定や選手のケガなどがあり、1Q15分だからといって、4Q合計で60分で試合が終わるものではありません。サッカーも90分戦った後にアディショナルタイムで3-4分ほど試合が延期されますよね。それと同じです。
さて、同じ1Q15分でも、NFLと社会人Xリーグでは1時間近くもトータルで違いますね。
これは、スポンサー企業のCMを流す時間が組み込まれているからなんです。テレビ視聴率の高いアメフトでは、スポンサー企業のCMを流すコマーシャルタイムアウトというものがあり、そのためにゲームが中断します。近年では、試合時間の短縮化を進める動きもあるようですが、日本にはないシステムです。
日本国内リーグでは、社会人Xリーグが1Q15分、学生リーグでは10分、高校生リーグでは10分です。これは一重に体力差を考慮したものです。(ライスボウルでは、1Q15分で社会人王者と学生王者が対決するのですが、けっこう接戦します。学生トップチームは、社会人に通じる体力もありますね。)
アメフトの試合時間は2〜3時間と覚えておきましょう。
より詳細な知識として、アメリカNFLの試合時間は3時間、日本アメフトリーグは1時間半〜2時間と覚えておきましょう。
他のスポーツとの試合時間比較
アメフトの試合時間を、他のスポーツと比較します。アメリカ5大スポーツのプロリーグを比較しました。
リーグ名 | 1Qの時間(分) | Q数 | 大体の試合時間 | 補足 |
NFL(アメフト) | 15 | 4 | 3時間 | |
MLB(野球) | 無し | 無し | 3時間 | 9回攻守を交代します。 |
NBA(バスケ) | 12 | 4 | 3時間 | |
NHL(アイスホッケー) | 20 | 3 | 3時間 | 1Qではなく1ピリオドといいます。 |
MLS(サッカー) | 45 | 2 | 2時間 | 前半・後半で試合を行います。 |
サッカーは2時間ですが、アメフトをはじめ他のスポーツは3時間です。
「この中でどの競技が一番試合時間が長いの?」という質問があるとすれば、アメフトになるでしょうか。先述した「コマーシャルタイムアウト」という特別な枠があり、タイムアウトを使用して時間をコントロールする戦法も多用されるためです。
まぁ、そういった場合もあるということなので、大体のプロスポーツは3時間ぐらいですね。
しかし、比較すると試合時間が3時間のスポーツが多いことに驚きました。これは筆者の想像ですが、人間にとって、ひとつの空間でエンターテイメントを楽しむ場合は、3時間ぐらいが妥当なのでしょうか。
アメフトの試合展開
アメフトは1Q15分が計4回行われます。ハーフタイムは12分、試合時間のトータルは3時間程度です。試合時間を説明した後で、その試合の展開について少し触れておきましょう。観戦に少しでも役に立つと思います。
■試合前
・試合前10分ぐらいまでは、選手がフィールド内で最終の戦術確認や、個々のウォームアップをしています。
・通なファンは、ここでのフィールド練習を見て、選手の状態やこの日のゲームプランを読みます。試合に使用しないプランを練習して対戦相手を錯乱させる巧妙なチームを中にはいますが。。。
・試合前の緊張した素顔を見られるのはこの場面です。アメフトは激しいコンタクトスポーツなので、試合開始前は格闘家のように緊張しています。
■セレモニー・コイントス(試合開始5分前)
・試合開催を記念して、国歌斉唱や来賓の紹介があります。アメリカでは必ずどの試合でも国家斉唱があります。
・フィールド中央で審判と両チームのキャプテンにより、どちらのキックで試合を始めるかを決めます。(アメフトは、ボールをキックして試合を開始します。)
・その他の選手はサイドラインに沿って整列しており、コイントス終了後、ハドル(円陣)を組んで式を高めます。この時、観客のボルテージが一気に上がります。筆者の好きな場面でもあります。
(ここからは、これまで審判をしてきた経験から一般的な試合の展開を説明します。)
■1Q
・キックオフ直後は、立てたプランがどの程度通じるかを確認します。自信のあるプレイをいくつか出して、自分たちの調子の良し悪し、相手のリアクションを確認します。
・思いきったプレイで得点を狙ってくるチームもいますが、大体は上述したようなチームが多いです。
■2Q
・1Qで自チームと相手チームの状況を理解し、選手の体もあったまってきた時間帯です。
・自信のあるプレイで、得点を狙った激しい攻防が繰り広げられます。波に乗れるチーム、乗れないチームが明確になる時間帯です。
・なお両チームは、ハーフタイム12分を挟んで3Qになる前に、相手よりも得点で上回っておきたい、良い流れのまま終えたいという思いを強く持ちます。2Q終了間際の攻防は、試合の中で一番熱いと言っても過言ではないと思います。前半終了時に得点が上回っているチームがその試合に勝つ可能性が高いというデータもあります。
■ハーフタイム
・選手たちはロッカールームに引き上げ、前半の反省と後半のゲームプランについて確認します。
・大きな試合になれば、ハーフタイムショーが開催されます。毎年のスーパーボウルでは、大物アーティストの素晴らしいライブパフォーマンスが観られます。(スーパーボウルのハーフタイムは30分です。)
■3Q
・最初のプレイに注目です!ハーフタイムで両チームとも互いを研究しつくし準備をしていますので、最初のプレイの出来で「どちらが後半は優勢か?」を判断することができます。
・また、トリックプレイ(相手の意表を突くプレイ)を出すタイミングは3Qのファーストプレイが多いです。このプレイで後半のアドバンテージを掴みたいと考えるチームは多くいます。
■4Q
・得点が拮抗している状態で迎えれば最高におもしろく、大差で迎えれば最高につまらないクォーターです。
・得点の差がわずかで、4Qの最後のプレイまで目が離せない試合は、審判をしていても感動を受けます。
・逆に、大差で負けているチームはモチベーションが下がり怪我する選手も出てきます。
アメフトは3時間のスポーツエンタテイメント
ズバリ、「アメフトは3時間のスポーツエンタテイメント」です。「試合時間」と表現すると固く感じますが、「エンターテイメント(娯楽)」として捉えてみてください。アメフトの観戦にもっと深みが出るのではないでしょうか。
最後に、3時間というのは、レオナルド・ディカプリオ主演の「タイタニック(1998)」の上映時間とほぼ同じです。ちなみタイタニックの上映j間は195分。「アメフトの試合ってどれぐらいあるの?」と聞かれたら、「映画のタイタニックと同じぐらいだよ」と答えても通じるかもしれません。(通じるかな。。。)