こんにちはMr.レフェリーです。「いつでも、自由に、好きな時間に、世界中のスポーツイベントを観戦する」ライフスタイルでは、スポーツを現地スタジアムで味わうという醍醐味に加えて、日本ではまだ知られていない世界の新しいスポーツを発見する喜びをお伝えしています。インド発祥のスポーツ「カバディ」や、コンピューターやビデオゲームで行われる競技「eスポーツ(e-sports)」など、日本ではまだ大きく普及していなくても、世界基準では多くの競技人口を持つスポーツはたくさんあります。
「もう一つのパラリンピック」と呼ばれるスポーツイベントが10月にスイスで開催されました。障害者の運動機能をサポートするロボット工学技術を競う「サイバスロン」です。日本を含む25ヶ国・地域が参加し、日本からは3チームが参加しています。サイバスロンとはどのようなスポーツなのか、どのような可能性を秘めたスポーツなのかを紹介します。
ロボ装着した新アスリートが競う「サイバスロン」
サイバスロンとは、コンピューターを意味する「サイバー」と、競技を意味する「アスロン」を組み合わせた造語で、6部門の競技が行われます。障害を持ったアスリート同士が競い合うだけでなく、障害者とロボット技師らがチームで競うことが特徴です。
①パワードアーム競技(強化義手競技)
・前腕または上腕切断のアスリートが、パワードアーム義手を装着して課題を競う。
②ブレインコンピューターレース(脳波コントロールレース)
・ヘッドギアのセンサーを通じ、脳波で画面内のキャラクターを操り競う。身体麻痺を持つアスリートが参加する。
③電気刺激バイクレース
・完全脊髄損者に電気刺激を与えることで筋肉を強制的に動かし、ペダルをこぐ自転車レース。
④パワードレッグレース(強化義足レース)
・ロボット技術によって強化した義足を装着して行う、速さを競う障害物レースです。
⑤パワードスーツレース(強化外骨格レース)
・パワードスーツ(外骨格)を装着し、重量物を持って競う。
⑥電動車椅子レース(魔改造車椅子レース)
・四肢麻痺、対麻痺、切断者など、様々な障害レベルの人が選手として参加できる、電動車いすを使ったレース。
10月にスイスで開催された第一回大会は入場券4,600枚が完売、スイスのテレビ局が中継するなどの注目を集めた次世代スポーツなのです。
サイバスロンが目指すもの
サイバスロンは障害を持つアスリートの祭典というだけでなく、もうひとつ大きな目的を持っています。義足や義手の部門で「ソファに座る」「洗濯バサミでシャツを干す」といった課題が示すように、障害を持つ人の生活を健常者に近づける技術開発を促すことにあります。
障害者用のサポート装置を製造するメーカーにとって、障害者の本当に困っていること、本音を聞き出すことは非常に重要なことです。しかし、実際に人に使ってもらう実験は危険が伴い、億単位の額の投資が必要なため、新しい装置の開発は非常に難しいものです。サイバスロンを通して障害を持つアスリートが装置を操り高い技術へチャレンジすることで、利用者にとって本当に意味のある技術開発に迫ることができ、その認知も進むことが期待できるのです。サイバスロンの目指す未来は、障害者が障害というハンディキャップを乗り越え、豊かな人生を過ごすことができるためのサポートテクノロジーを発展させることなのです。
サイバスロンへの批判的な意見も
「テクノロジーはスポーツに参加する人口を増やし、『障害者』を『アスリート』に変える。」義手などの研究に携わったイギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドンのアルド・ファイサル教授は言っています。現にサイバスロンのバイクの技術は、下半身などに麻痺を抱える人の運動不足解消に利用されており、今後もこのようなテクノロジーの実利用が期待されています。
その一方「人間の優れた能力が勝利の要素でなければならない」国際パラリンピック委員会(IPC)は提唱しており、サイバスロンに対してはやや批判的な意見を唱えています。テクノロジーを利用することで、速く走れ、高く飛び、強くなる、ということは生身の人間の勝負という土台の上に乗せることは少し難しいかもしれません。しかし、サイバスロンという「ロボット技師が開発したテクノロジーを活用した障害者アスリート」が競うことで示される可能性は決して潰してはならないと考えます。
サイバスロンを観戦しに行こう!
サイバスロンを通して磨かれたテクノロジーは、今後の未来を豊かなものにするためには必要なものばかりです。そしてそれは障害者だけでなく、健常者の未来を切り拓くものでもあるのです。本当に便利な義手や義足は、人間の動きを忠実に再現できるものであり、手の動き・足の動きの原理を理解することが必要です。つまり、人間がどのように体を動かしているのか、人間の体がどのように成り立っているのかを明らかにすることなのです。その研究成果は、健常者の生活も豊かにすることにつながるのです。
新スポーツ「サイバスロン」を観戦することは、これからの未来を想像することにもつながります。第二回大会の開催地は未定ですが、「いつでも、自由に、好きな時間に、世界中のスポーツイベントを観戦する」ライフスタイルの予定に入れてみてはいかがでしょうか。
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