VR(仮想現実)を活かした取り組みと課題

VR 仮想現実
こんにちはMr.レフェリーです。今いる場所とは違う世界に入り込んだ感覚を味わえるVR(Virtual relity)。その技術を活かした新しいスポーツ観戦や、実現する様々なスポーツスタイルを以前紹介しました。

スポーツ以外の領域にもその技術を活かした取り組みが広がってきています。便利で面白みがあり、これまで以上の価値を提供してくれる技術には違いありませんが、そこから見えてくる課題もあるようです。VR(仮想現実)を活かした取り組みと課題を紹介します。

介護の現場でVRを利用

VR 仮想現実
あるデイサービス事業所では、高齢者の介護・リハビリの現場でVRを利用する試みをしています。高齢者は、スマートフォンのVRサービス企画社ハコスコから販売されている組み立て式のダンボール製ゴーグルを使用し、同社の無料アプリを入れたスマホをはめ込んで映像を見ます。事前に、高齢者の故郷や訪れたことのあるお気に入りの旅先を聞き、担当者が訪れ全方位カメラで撮影されたもの。この映像を見ることで、リハビリへの意欲が湧いてくるそうです。

利用される高齢者の多くは手足を動かすことが困難な方が多いのですが、この映像を見ることで、「もう一度自分の足で行ってみたい。」という希望が湧いてくるのでしょう。この取り組みには他の介護事業者の視察も多いとのことで、今後活用の拡大が期待されています。高齢者の介護・リハビリを例に挙げましたが、VRを利用しての「旅行 仮想体験」が実現できます。

着工前のマイホームを実感

VR 仮想現実
着工前のマイホームの間取りなどの設計を実感するためにVRが活用されています。新築を依頼したオーナーがゴーグルをかぶると、目の前に2階建てのマイホームが現れます。両手に持ったコントローラーを操作して家の中に入ることができ、リビングでかがむと座った視点から部屋を見渡せ、見上げれば天井の高さも分かります。台所に行き収納棚の棚板に触れるとコントローラーが震え、その高さを体験できます。これによりオーナーは「リビングが狭く感じるので広くしたい」、「ダイニングに圧迫感を感じるので窓を付けたい」というイメージを明確に持つことができ、設計変更を依頼できます。

マイホームの疑似体験を通して、オーナーの「家がイメージ通りにできるか」という不安が解消され、早い段階での変更が可能となります。後の「こんなはずじゃなかった(涙)」というトラブルが解消されるわけです。このサービスは建築用ソフトウェア開発会社 福井コンピュータアーキテクトが開発した 設計図を基に作ったコンピューターグラフィックの住宅をVRで体験できるシステムで実現されています。他にも、ゴーグルを着用すると駅からの経路、近くのショッピングモールや病院などの映像が見られるサービスがあり、「現地に行かなくて立地の良さなどが分かり、生活のイメージを持ちやすい」と好評だそうです。VRを利用しての「新居 仮想体験」が実現できます。

肯定意見が多いVR、その課題は?

VR 仮想現実
民間調査会社のMMD研究所が4月、15〜59歳の男女を対象に行なった調査では、「映画やアニメを楽しめそう」が37.7%と最も多く、次いで「自宅でゲームが楽しめそう」が36.2%、「酔いそう」が35.9%となった。「酔いそう」という否定的なイメージが3位にありますが、肯定的なイメージが上位に並んでいることが特徴です。VR技術でこれまでできなかったことが実現できるという期待は大きく、そのあらわれではないかと考えます。

一方でVRの課題も今後考えていかなければいけません。VRを通して体験できる世界は、自分の都合の良い世界を作ることができます。現実世界にいるよりも居心地が良い状態、つまり依存症へのリスクが考えられます。また現時点ではゴーグルやグローブを着用することで体感を得られることができますが、技術の進歩とともに、より身軽に体験できるようになった場合どうでしょうか?「現実と仮想との違い」が分からない世界が訪れる可能性だってあります。その結果みな自分の都合の良い仮想世界に逃げ込み、現実で生きている人間がほとんどいない。。。というSFのようなことも考えられます。

VRを今一度考える

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VR技術を利用することで、様々な領域に大きな価値を提供できることは間違いありません。スポーツ観戦においても、自分の部屋にいながら特別な観戦が可能になるのです。
・試合前にコーチが選手を叱咤激励しているシーンを実際の選手の横で観られる。
・試合中にフィールドに立ち、プレイしている選手と同じ位置でプレイを観られる。
・熱狂する観客席に座って観戦ができる。など。

紹介した介護の現場、住宅販売の現場の事例のようなものもあり、その活用はますます広がっていくことが予想されています。

一方、「仮想世界とのバランスの良い付き合い方」を同時に考えていく必要があります。大きなメリットの裏には必ず相当のデメリットが存在するからです。人体への影響(例えば目に悪い)という事例も報告されており、VRを利用する上でそれを考えていくことは私たちの義務であると考えています。

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