日大アメフト部問題の末路、路頭に迷うのは誰か?

こんにちは節税サラリーマンです.

このところ、日大アメフト部(アメフット)に関連したニュースが、テレビ、新聞、雑誌、ネットを駆け巡っております。

日大アメフト部の内田前監督や、井上元コーチが怪我をさせろと指示をしたのか?

それとも、宮川選手が指示を過剰に受け取り、関西学院大学の選手を意図的にケガさせるプレーをしたか?

に関して、内田前監督や、井上元コーチの言い分はどうも怪しい。嘘をついているのでは。彼らの発言は信用できない。

宮川選手の言う事は非常に信憑性がある。アメフトを辞めるとまで言っている。だから信用できる。

といった論調が中心ではないでしょうか?

節税サラリーマンは、この点に関しては、特にに意見はありません。

こちらは「言った、言わないの世界の話」ですから、サラリーマン生活が長くなれば、よく聞く話です。

それよりも、節税サラリーマンには気になることがあります。

それは「内田前監督に逆らえば、日大アメフト部の選手は路頭に迷う」と言われることが、事実かと言うことです。

もし事実だとすれば、とんでもない話だと思います。

今回の記事作成あたっては、下記ドキュメントを参照、引用し記載しております

首都大学東京 西島 央(ニシジマ ヒロシ)準教授

「体育会所属大学生の学生生活と進路形成に関するアンケート」-関東地区のラグビー部とアメリカンフットボール部を事例に-

 

アメフト選手経歴

まず、アメフト選手の経歴から確認してみます。

冒頭紹介の「体育会所属大学生の学生生活と進路形成に関するアンケート」図表2、図表3、図表4より引用します。

大学でアメフト部に所属する選手の内、競技未経験者割合が48.6%です。高校での経験者割合34.0%、中高での経験者割合7.1%、小中高での経験者割合7.7%の分布になります。

同競技経験

上位リーグ所属のうち、競技未経験割合は24.1%、経験者割合は75.2%。

中位リーグ所属のうち、競技未経験割合は44.1%、経験者割合は54.5%。

中位リーグ所属のうち、競技未経験割合は72.3%、経験者割合は23.2%。

同競技経験なしの割合

高校時同競技経験

ここから導き出されるポイントは、上位リーグ所属のチームの方が競技経験者の割合が多く、下位リーグ所属のチームの方が競技経験者の割合が少ない傾向です。

とはいえ、上位リーグ所属のチームであっても、一定割合(24.1%)の競技未経験者が含まれています。

日大アメフト部の選手が路頭に迷うということ

社会人であれば、失業や、経営していた会社の倒産などで収入の道が絶たれることを、「路頭に迷う」と表現します。

「路頭に迷う」の意味を端的に示すのであれば、「生活の手段を失って困窮する」事です。

アメフト部の選手の立場で「路頭に迷う」ということは、どういうことでしょうか?

節税サラリーマンが考える、「路頭に迷う」とは以下です。

  • 大学を卒業できない、留年してしまう。
  • 能力と意思があっても、競技を続けられない
  • 期待している企業に就職できない(社会人チームに所属できない)

ひとつずつ掘り下げていきます。

①大学を卒業できない、留年してしまう。

日大アメフト部に所属すると大学の授業に出させてもらえないといった、噂話に近い情報があります。

冒頭紹介の「体育会所属大学生の学生生活と進路形成に関するアンケート」、図表7、図表8より引用します。

アメフト部員の授業出席率(入学経路別)

アメフト部員全体、一般入試で入学したアメフト部員、スポーツ推薦で入部した部員、を比較した場合、そこに大きな数字の隔たりはありません。

81%以上出席している割合は約45%

61%~80%出席している割合は約37%

60%以下しか出席していない割合は約17%です。

授業出席率全体

アメフト部員の授業出席率(リーグ別)

先に結論を言うと、上位リーグに所属している選手は、60%以下しか出席していない割合が高いです。

授業出席率

上位リーグ

81%以上出席している割合は32.2%

61%~80%出席している割合は47.9%

60%以下しか出席していない割合は24.9%です。

中位リーグ

81%以上出席している割合は54.5%

61%~80%出席している割合は36.4%

60%以下しか出席していない割合は9.2%です。

下位リーグ

81%以上出席している割合は50.6%

61%~80%出席している割合は33.5%

60%以下しか出席していない割合は15.9%です。

①のまとめ

日大アメフト部に限った話ではありませんが、上位リーグに所属するアメフト部員の、4人に1人は60%以下しか授業に出席していません。

一般的には、出席率が75%を下回ると留年の二文字がちらつくと思いますが、上位リーグに所属するアメフト部選手たちは、それを大きく下回る出席率となっています。

②能力と意思があっても、競技を続けられない

宮川選手の記者会見抜粋

今回、危険なタックルをしてしまった宮川選手は、自身の記者会見で以下のように述べています。

・今年度の試合は本件までに、4月22日、同月29日の2回行われ、そのいずれについてもスターティングメンバーで出場した。

・5月3日、実戦形式の練習でプレーが悪いとされた宮川選手は、コーチから練習を外される。

・翌4日には、内田監督から日本代表の辞退を求められ、同意。その日の実戦練習から外される。

・翌5日も状況は変わらず、実戦練習から外される。井上コーチからは、「監督にお前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のクォーターバックを1プレー目で潰せば出してやるといわれた。クォーターバックを潰しに行くので、僕を使ってくださいと監督に言いに行け」と言われた。

・翌6日の関西学院大との試合当日。試合のメンバー表に私の名前はありませんでした。その後、試合前のポジション練習時に井上コーチに確認したところ「今行ってこい」といわれたので、私は(内田)監督に対して直接「相手のクォーターバックを潰しに行くので使ってください」と伝えた。

宮川選手の能力に関して

節税サラリーマンは一時期NFLのスポーツ中継にハマっていたこともあり、少しだけアメフトの知識があります。

インディアナポリス・コルツが致命的に弱く、ワシントン・レッドスキンズが連勝街道をひた走っていた時代です。

宮川選手のポジションはラインバッカー(LB)です。下記の記事が参考になります。

アメリカ人にも自慢できるアメフトポジション紹介〜LB(ラインバッカー)〜

ラインバッカー(LB)はディフェンス選手の花形ポジションで、身体能力とメンタルの強さ(勇気)を高いレベルで兼ね備える必要があります。

日本代表に選ばれること自体素晴らしいことですが、ラインバッカー(LB)という人気のあるポジションで選ばれていますので、宮川選手の能力に疑いはありません。

また、今回問題になった関西学院戦の前までは、スターティングメンバーに選ばれていたことからも、高い能力も持っていたことは明らかです。

②のまとめ

内田前監督、井上コーチの言い分では、実力があった宮川選手を試合のメンバーから外すには、それなりの理由があったのかも知れませんが、その説明が不足していたことは明らかです。

また、能力があっても試合に出られないという状況の中、その状況を甘んじて受け入れることは20歳の若者には酷だと思います。

③期待している企業に就職できない(社会人チームに所属できない)

内田前監督に好まれた場合

日大アメフト部でレギュラーの座をつかみ、主力選手になれば将来も安泰とされています。

日大を卒業後、内田前監督のコネクションから、社会人アメフト強豪チームに入部した選手たちはこれまでも数多くいます。

仮に主力選手になれなくても、監督の御眼鏡にかなえば、一流企業への就職口も紹介しているもらうことが可能と言うのです。

一流企業の採用担当者側も、日大アメフト部出身なら安心という意識を持っています。

社会人アメフト強豪チーム

ここでは、富士通フロンティアーズを例にしてご説明したいと思います。富士通フロンティアーズを例にした理由は二つあります。

ひとつは、JAPAN X BOWLの2017年チャンピオンであること。2017年の社会人ナンバーワンチームです。

ふたつめには、富士通系列のとある会社にフロンティアーズの選手がおり、日ごろから懇意にしていたことから、JAPAN X BOWLに招待してくれた経験があることからです。

当時、富士通フロンティアーズの練習は毎週水曜日に設定されており、IT系営業職だったにもかかわらず、毎週水曜日、彼は不在でした。

更に、土日は練習か試合が必ず組まれ、シーズン中はほとんど休暇無しで仕事とアメフトに没頭しています。

比較的人数の少ないポジションの選手でしたので、個人特定を避けるため、これ以上のコメント差し控えます。

前置きが長くなってしまいましたが、富士通フロンティアーズ所属選手に占める、日大アメフト部出身者の割合を算出してみます。

この記事作成にあたり、下記Webサイトを参照いたしました。

富士通フロンティアーズ-オフェンスチーム

富士通フロンティアーズ-ディフェンスチーム

富士通フロンティアーズ-スペシャルチーム

 

ポジション毎、日大出身者割合

・QB(クォーターバック)

日大出身1名/選手総数3名(日大出身者が占める割合:33%)

・RB(ランニングバック)

日大出身3名/選手総数4名(日大出身者が占める割合:75%)

・TE(タイトエンド)

日大出身1名/選手総数1名(日大出身者が占める割合:100%)

・OL(オフェンスライン)

日大出身2名/選手総数11名(日大出身者が占める割合:18%)

・WR(ワイドレシーバー)

日大出身3名/選手総数11名(日大出身者が占める割合:27%)

・DB(ディフェンシブバック)

日大出身0名/選手総数12名(日大出身者が占める割合:0%)

・LB(ラインバッカー)

日大出身0名/選手総数11名(日大出身者が占める割合:0%)

・DL(ディフェンスライン)

日大出身1名/選手総数12名(日大出身者が占める割合:8%)

・K(キッカー)

日大出身1名/選手総数4名(日大出身者が占める割合:25%)

・LS(ロングスナッパー)

日大出身0名/選手総数1名(日大出身者が占める割合:0%)

選手総数に占める、日大出身者割合

日大出身12名/選手総数70名(日大出身者が占める割合:17%)

内田前監督に疎まれた場合

もし内田前監督から疎まれ、退部した場合はどうでしょう?

先ほど書いたとおり、一流企業の採用担当者側は、日大アメフト部出身なら安心という意識を持っています。

日大アメフト部出身者の採用実績があり、内田前監督とのコネクションがあった採用担当者の場合、慣例的にその人物の人となりを内田前監督に聞く可能性があります。

その際に、「誰々は使い物にならないよ」と、言われたとしたらどうでしょうか?

③のまとめ

このような背景があれば、内田前監督に疎まれたくないと思い込むようになるのも無理はありません。

むしろ監督の評価ポイントを上げるためにどのような指示に対しても、率先して実行しようとする意識も働くでしょう

ひとつ間違いないこととしては、一流企業や、社会人アメフトチームからの信頼は、日大アメフト部のOBがその企業内で活躍してきた歴史によって作られたものであることを忘れてはなりません。

内田前監督が作った信頼ではないという点、ご認識ください。

内田前監督に関して

当初は、内田前監督が責任者なのでは?と思った方が大多数だと思います。

現在、心身の疲労で入院したことから察するに、日大の本当の責任者から切り捨てられ、余計な発言をさせないために入院していると考えられます。

井上元コーチに関して

宮川選手が内田前監督と直接話す機会が少なく、井上元コーチを経由したやり取りをしていることに、不思議な印象を持った方がいるかもしれません。

日大アメフト部は、ポジション毎に専任のコーチを置いています。井上元コーチは、おそらくラインバッカー(LB)の担当だったのでしょう。

報道されている通り、井上元コーチは日本大学豊山高校でアメフト部の監督を務め、宮川選手も日本大学豊山高校の出身です。

井上元コーチが高校生だった宮川選手に良かれと思い、日大アメフト部を紹介、日大アメフト部でも自分が指導していたことになります。

本心から宮川選手に厳しく指導していたとしたら、悲しいことです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

日大アメフト部の問題は、内田前監督と井上元コーチから、関西学院大学のクォーターバックを怪我させるような指示が出た、出ない。

宮川選手がそれに従った、従わない。

と言うような単純な論理ではなく、日本大学アメフト部の選手たちの置かれている状況の厳しさに関して、実際の数値とレポートを元に報告させていただきました。

この問題どのような結論になるか分かりませんが、少なくとも授業に出席することを阻害する、日本代表への派遣を選手の意思とは関係なく辞退させるようなことはなくなって欲しいと思います。

補足

今回の事件に関して、日大アメフト部OBの新井氏がFacebookにコメントを寄せていますので、そちらのリンクをご紹介いたします。

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