アメリカ人にも自慢できるアメフトポジション紹介〜QB(クォーターバック)〜

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こんにちはMr.レフェリーです。「いつでも、自由に、好きな時に、スポーツ生観戦ができるライフスタイル」の私の最大の目標は『毎年NFLスーパーボウルをアメリカで生観戦する!』ということです。全米ナンバー・ワンの人気スポーツであるアメリカンフットボール、私もプレイヤー、そして審判として携わってきました。

アメリカンフットボールでは、グラウンドに出ているのはオフェンス11人、フェィフェンス11の計22人。その22人それぞれに役割があり、適性が求められます。「身長200cm・体重140kgの選手と身長175cm・体重85kgの選手が同時にグラウンドに出場するスポーツ」がアメリカンフットボールなのです。一般的なポジションの説明、そして「選手に一番近いところにいる審判だからこそ語れる」ポジションの特徴、さらに本場アメリカン人にも自慢できるポジションにまつわる話を紹介していきます。第一回はQB(クォーターバック)です。オフェンスのリーダーであるQBはチームの顔・象徴であり、他のプレイヤーに比較にならないほど高く多くの要素を求められます。

QBはオフェンスの司令塔

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QBを説明する上では使い古された言葉ですが、『QBはオフェンスの司令塔』です。プレイが始まる前にハドルと呼ばれる円陣を作り次のプレイを伝えるのですが、その中心となるのがQB。そしてボールの位置にセットして「レディー、セット」とコールをするのがQB。ディフェンスの体型、ディフェンスの弱点、それまでの試合状況、自分のチーム状況など試合に関わる要素全てを合わせ総合的に判断してプレイを指示します。そして、パスを投げたり、ボールをRB(ランニングバック)に渡したり、時には自分でボールを持って走ったりして相手ゴールを目指します。

求められる要素としては、
① リーダーシップ・・・「彼の言うことなら聞く」というリーダーシップ、キャプテンシー
② インテリジェンス・・・自チーム、相手チーム、試合状況を総合的できる知性、頭脳
③ パスコントロール・・・正確な位置にボールを投げられるコントール、肩の強さ
④ スピード・・・自らボールを持って走ることができる脚力
⑤ タフネス・・・死角(ブラインドサイド)からタックルされてもケガをしない強さ
⑥ クール・・・冷静さをコントロールできる能力

これだけ多くの要素が求められるQBは、チームのベストアスリートが選ばれる場合が多いです。ゲーム中に掛かる負担、勝敗を左右するキープレイヤーはQBなのです。アメリカでも日本でも、チーム作りの根幹はQBを誰にするかであり、そのQB選定・育成に多くの時間を注力し、チーム作りを進めていきます。QBの練習が格段に多いことは常識で、グラウンドでの練習以外に、コーチとビデオを観てのミーティングに多くの時間が割かれます。「この体型ではこのプレイをする」、「ディフェンスがこの動きをしたらこのプレイをする」、というように試合を想定した頭のトレーニングを行うのです。こういったトレーニングを経ることで状況判断の力や決断力を磨いていくのです。心技体全てを兼ね備えたスーパーアスリートが、アメリカンフットボールのQBというポジションなのです。

どれだけヒットを受けても笑顔でチームを鼓舞するタフガイ

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アメフトでは全てのプレイはQBから始まるため、必然的に注目が集まるポジションです。肩が強く、足が早く、頭が良くてリーダーシップがある、観戦するポイントが沢山あるものQBです。

スタジアムで注目して欲しいQBの姿があります。それは、『タックルを受けても、笑顔でチームを鼓舞する姿』です。QBはチームの要、ディフェンスチームはゲーム中QBめがけて激しいタックルやヒットをしようと襲いかかります。QBの利き腕とは逆のサイドはブランドサイド(死角)と呼ばれ、敵の接近に対して無防備となり、タックルやヒットを受ければ致命的なケガとなります。ブラインドサイドだけでなく、オフェンスメンバー全員(特にオフェンスライン)がQBを守りますが、ディフェンスもいろいろな戦術やテクニックを駆使してそのブロックをかいくぐりQBへアタックします。身長200cm・体重145kgのディフェンスに力いっぱいぶつかられたら、いくら体を鍛えているQBでもひとたまりもありませんね。軽トラックが衝突したような「ドーン」という音がするはずです。倒れて立ち上がってくるQB、彼の表情を観てください。苦しい表情はしますがほんのわずかです。それよりも「さぁ、次行こうぜ、俺はあれぐらいじゃぁびくともしないぜ!」とチームを鼓舞して次のプレイへと向かうのです。

タックルを受けたQBが「ちゃんと止めろ!痛いじゃないか!」とブロックをミスしたチームメイトを非難したらどうでしょうか?そのプレイヤーはモチベーションを無くし、それ以降のびのびとプレイができなくなってしまいます。また痛い顔ををずっとしていたらどうでしょうか?ディフェンスに対して自分が傷ついていることを見せてしまい、どんどん調子に乗せてしまうことになるのです。ゲーム中のQBはどれだけヒットを受けても笑顔でチームを鼓舞するタフガイなのです。アメフト観戦中にQBの素晴らしいプレイだけでなく、タックルを受けても笑顔で立ち上がってくる姿を観て、その裏に隠されたリーダーの思いを感じて欲しいのです。

アメフトの神様『ジョー・モンタナ』

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どのスポーツにも神様と称されるスーパープレイヤーがいます。バスケの神様マイケル・ジョーダン、アイスホッケーの神様ウェイン・グレツキー、野球の神様ベーブ・ルース。そのスポーツで神様と呼ばれるには、華麗なプレイで観客を魅了し、あっと驚く逆転劇やスポーツ史に刻まれる名シーンを幾多も残し、人間として尊敬される存在であることが必要です。アメリカンフットボールの神様と言えばこの人『ジョー・モンタナ』サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ(1979年-1992年)、カンザスシティ・チーフス(1993年-1994年)でプレイをしました。ポジションはQB。現役時代に数々のアメフト史に残る名シーンを残し、スーパーボウル優勝4回、スーパーボウルMVP3回、プロボウル(オールスター)選出8回などいくつものタイトルを獲得し、NFL殿堂入りを果たしています。その功績を讃え、フォーティーナイナーズ時代の背番号16は永久欠番とされています。

モンタナの凄さが一番わかる映像としては「ザ・モンタナ・ドライブ」と呼ばれる逆転ドライブがあります。第23回スーパーボウル、残り時間3分10からの大逆転劇、この瞬間モンタナは神となりました。

 

モンタナは日本でもとても有名なんです。バブル期の1990年代、三菱電機のAV機器のCMに「どんなモンタナ!」「ジョー況判断!」というセリフで出演していました。モンタナが活躍する少し前1970年代には日本でもアメフトブームがあり、モンタナも日本で注目される存在だったのです。

アメフト現地観戦でQBのプレイを堪能!

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アメフトの司令塔QBについて、いかに彼らがスーパープレイヤーであるかをお分かりいただけたかと思います。彼らの華麗なプレイはもちろんですが、チームの勝利のために『タックルを受けても、笑顔でチームを鼓舞する姿』をスタジアムでは観ていただきたいです!

アメフトについては「アメフトとラグビーの違い」と「アメフトの試合時間」について別の記事で紹介をしています。こちらも参考にして、アメフトをより詳しく知ってください。

 

「いつでも、自由に、好きな時に、スポーツ生観戦ができるライフスタイル」を手に入れ、一人でも多くの方が一日でも早くアメリカでアメフト観戦を実現して欲しいと願っています。

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